寅さんスタイルで10本アイゼンの練習

雪が降った。よし、デッパ付10本アイゼンの練習だ。ということで、今日の山行は手軽にアクセスできる鍋割山稜を選んだ。今年は冬の山小屋泊に行くつもり。その前に冬の尾根歩きを体験するのが今回のテーマ。冬季登山に必要な服装、本格アイゼンの歩き方、荷の重さ、などテーマはいろいろある。そうそう、この前買ったmontbellのハラマキもしていこう。ハラマキにゲタ(アイゼン)だ。
塔ノ岳より相模湾、東京湾方面。拡大すると文字が読める。

冬の荷は重くなる

朝8時、丹沢県民の森に車を止めて出発。コンビニで買った食糧をザックに入れたら30リットルのザックがパンパンになってしまった。普段の荷に、10本アイゼン、ダウン、中間着を余分に持ってきている。小屋泊りを想定した荷造りだ。この10本アイゼンが案外とスペースをとるし、重量もかさむ。スペースはほぼ2リットルのペットボトルに等しい。重量はケースと併せて1キロもある。

まずは鍋割山まで

重い荷を背負って出発。白くなった山稜を見上げながらいつもの登山道を歩く。1時間ほど歩くとようやく調子がでてきた。単調な鍋割山への尾根登りが続く。しかしこの尾根道は階段が殆どないので歩きやすい。登るに従い積雪が増してきたがこの程度ならば山頂までアイゼンを付けなくとも大丈夫だろう。前を歩く登山者について歩きほぼコースタイム通り、11時に鍋割山頂に到着。
鍋割山への登rり。標高を上げるに従い白くなってくる

アイゼン装着

例によってここは鍋焼きうどんが名物。鍋割り山の鍋焼きうどんなんて、いかにも短絡的。しかし混んでいるときは1時間待ちだそうだ。確かに雪上で暖かい鍋焼きうどんは美味しいだろう。その鍋焼きうどんを美味しそうに食している人を横目に私は新品のアイゼンを装着する。いよいよ今日のメインイベントだ。周りの登山者は殆ど簡易アイゼンをつけているが、私だけは大仰なデッパ付10本アイゼン。ちょっと恥ずかしい。しかしここは練習と割り切って堂々と歩くことにする。
鍋焼きウドンを食する人々
デッパ付アイゼンを装着

訓練開始

さあ訓練開始と山稜を歩き始めたが、最初から問題発生。10本アイゼンは足の運びに注意しないと爪が裾に当たってしまう。これでは薄いスパッツだと簡単に破れてしまう。いやそれよりも転倒の原因になる。対策は単純だ。両足を広げてガニマタ歩きをすること。そうしてガニマタ歩きに修正して歩いていると、今度は段差に足を出すときに前後の爪と段差とがひっかかることが判った。躓いて転倒の原因になる。この対策は常に上から真下に足を下ろすこと。要するにガニマタで足ふみするような感じかな。などなど学習しながら歩き続ける。しかし10本アイゼンはいままで使ってきた6本アイゼンよりはるかに歩行が安定することは間違いない。歩くうちにだんだんに慣れてきた。
鍋割山稜登山道。この程度なら軽アイゼンで充分だ。

鍋割山稜から大倉尾根を見る


寒さに手が凍えるとどうなるか

鍋割山稜は縦走路なので、冬枯れの木々の間から風がもろに吹き付ける。冷たい風はたいして強くなくとも、体感温度をじわじわと下げる。我慢して歩くうちに手が冷たくなってきた。そうこうするうちに、ついにストックを握った手がフリーズ状態になり感覚を失ってしまった。これではまずい。ということで、手を温めるためにザックのなかからオーバーグローブを出そうと思ったが、これができない。指先の感覚がなくなってしまい、胸前のザックの小さなフックをはずすことができないのだ。仕方ないのでしばらく手をポケットに入れて指先の感覚が戻るのを待ち、ようやくフックをはずすことができた。このように寒くなったと思ったら面倒腐らずにとにかく早めの対処が必要だ。瞬く間に感覚がなくなってしまう。そうなってからでは遅い。特に冬期登山では手を寒さから守るのは重要。手の凍傷は致命傷につながる。登山記録などで、凍傷の手でアイゼンをつけることができないという件を読んだことを思い出した。また、オーバーグローブの威力も体験した。冷たい風から手を守ってくれる。グローブのレイヤリングは冬山ではかなり有効だ。
最強レイヤリング。右からウールのインナーとアウター、左がオーバーぐるーb


塔ノ岳へ

山稜の道はやがて金冷しで大倉尾根と合流し、そのまま人の流れに乗って塔ノ岳に着いたのが13時。残念だが富士には雲がかかっている。しかし今日は遠く新宿副都心のビルも良く見え、見晴は十分堪能できた。帰りは小丸から二股に下り、県民の森に戻ったのは16時であった。
山頂の様子。こちら側は風が当たらないので調理が楽。


停滞は体を冷やす

短い山行だったが今回はいろんなことを学習した。冬季の山歩きはとにかく動いていないと寒い。停滞は汗冷えなどで身体を冷すからだ。ランチなど、極力停滞時間を減らすため、簡単に食することが大切。水なども750ミリリットルあれば充分だ。そうして余分な荷を減らし、ザックの中に着替えなどを収めるスペースを確保すること。また、グローブなど耐寒グッツはすぐに出せるところに収納すること。テルモスなどもそうだ。それからMONTBELLのハラマキは実に快適だった。ここにホカロンでも入れればもっと効果的だ。腹部を暖めるのは大事なことなのかも知れない。寅さんは正しい。


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