権現山、扇山で地図とコンパスの練習

2014年11月3日権現山から扇山へ縦走



今回のテーマは読図とコンパスの使い方習得

1日からの3連休も悪天予報。ほんとうに今年の連休は天気に恵まれない。連休最終日の3日にようやく晴れマークがついたので、かねてから歩いてみたいと思っていた権現山から扇山への縦走を企画した。
今回はこのコースで地図とコンパスの使い方を練習することもテーマとした。きっかけは中学の同窓会でお会いした山のベテランであるF.Eさんに山歩きでの地図読みの楽しさを教えてもらったこと。特にバリーエーションルートを歩くには地図とコンパスが必携であり、またこれを使えなくてはいけない。そしてこの技量が備われば山歩きの世界も一層広くなることを知った。この際、このコースで読図の練習をしてみようと思った。まずは書店で二万五千分の地図「上野原」を購入。そして昭文社の地図には磁北線を記入した。
今回のコース概略は上野原からバスで初戸(はど)まで行きそこから→権現山→浅川峠→扇山→鳥沢駅である。昭文社の地図でも浅川峠付近は道迷いのマークがついている。まさに地図読みの練習になるにちがいない。累積標高差は1300程度。距離もけっこう長い。ランチを楽しむ余裕はないだろう。行動食用にコンビニでパンを買った。

上野原駅からバスに乗る

上野原駅に下りるのは始めてだ。朝の駅は相模湖からの水蒸気でモヤに包まれている。改札を出るとすでに登山者がバスを待っている。バス停では富士急の制服をきたオジサンが登山者のいろんな質問に答えている。実にこの近辺の山に詳しく、説明も親切丁寧だ。彼は多くのファンをかかえているに違いないと思った。この駅からは小菅方面、生藤山方面など沢山の山にアクセスできるので彼のようなガイドがいると助かる。
8時8分の鶴峠行きのバスに乗る。乗客は20人程度。すべて登山者だ。殆どの乗客はガイドから配布された「小菅の湯」の割引券をもらっていたので終点の鶴峠まで行くのだろう。途中、バスの車窓より富士山の頭が少し見えた。初冠雪後はじめて見る富士山だ。今日のコースが楽しみだ。
降りたのは私一人だけ

バスを降りて支度を開始

上野原から30分で目的の初戸に到着。降りたのは私一人であった。初戸は谷間の小さな部落。見上げると権現山と思わしき山が見える。ここで今日の行動のための準備をはじめた。
最初に足ごしらえだ。今日は地下足袋で歩く。履いてきたクロックスを地下足袋に履き替える。次にコンパスの準備。最初の目的地である権現山に方向をセットする。それから腕時計の高度計の補正。初戸の標高、423mに補正する。
数軒の軒下を歩くといきなり権現山への登山道となる。時計を見ると9時ちょうどであった。
いつもの地下足袋
目指す方向に長辺をあて、磁北線とコンパスの線を平行にする


コンパスの線と針の極北を合わせると進む方向がわかる(写真の上方向が進む方向)

権現山へ

2年まえに権現山は登ったことがある。その時は国道20号線側からの和見から登った。和見からみて初戸は権現山を挟んで向こう側になる。初戸からはいきなり急坂だ。竹林をすぎ、杉林を登りしばらくすると広葉樹林となる。サクサクと地下足袋で落ち葉を踏み鳴らす音が響く。身体が熱くなってきたので、思い切って薄手の長袖シャツ一枚となる。これもF.Eさんのアドバイスだ。薄着になって発汗を抑えることで体力消耗をおさえる効果がある。確かに効果を実感。
とりあえず権現に続く尾根までいっきに登る。やがて登山道の先が明るくなり尾根の小ピークである雨降山に到着。11時だ。ここからは権現山まではゆるやかな尾根歩きとなる。
木々の間から日が差し込む

この尾根は和見から登ったときにも歩いた。その時は新緑の季節で、コシアブラとワラビを採った。ことしはその新緑が紅葉に変わっている。木々の間から遠くに富士山が見える。残念だが富士はうっすらと霞んで見える。やがて権現山山頂直下の祠に到着。岩に刻まれた階段が歴史を感じる。権現の名のとおり信仰の山であったのだろう。
岩に刻まれた階段の上に祠がある

ここからいっきに50mほど登ると山頂だ。山頂ではすでに2グループ、3人の人がランチを食べていた。なぜか2人グループが(夫婦)大きな音でラジオを鳴らしている。なんで二人でラジオなんだ。ラジオを聞きにこの山まで登ってきたのか。理解できない。この音をききながら休憩は無理。撮影もそこそこに扇山方面に向かうことにした。
富士に向って休む人
山頂から富士を見る



淺川峠へ

権現山を下り始めたが、いきなり登山道は不明瞭となる。これはヤバイと思い、コンパスの方向を扇山へセットする。スタート間もなく登ってきた登山者にこの先の様子を聞く。途中、浅川峠には道標があるとのこと。その他主観的な説明は参考程度に聞き置く。特に登山道は登ってくる人と下る人とでは見た目の印象は異なる。まして経験のレベルによっても異なる。往々にして登山者は来た道のことを軽く言う傾向がある。マジ疲れたあ!などと言うのは山ガールぐらい。男はだいたいすまし顔で、少しきつかった、などと言う程度である。そんな言葉を信じてはいけない。大事なのは浅川峠には道標があるということ。浅川峠の標高は867m。この二点がもっとも重要な情報である。淺川峠はこの間の最低鞍部だから高度計が867mをすぎて下ることはない。
なぜ下りはヤバイのか。そして登ってきた人の話はなぜあてにならないのか。これからそれを痛感した。晩秋の広葉樹林の登山道はマジヤバイ。落ち葉が一面に積もっていて登山道の識別が困難になっている。これが雪道ならばトレースがあるが、落ち葉の登山道にはそれがない。なんとなくついている模様を見て判断するしかない。道標もない。そこで二万五千縮尺の地図とコンパスの登場だ。地図を良く見ると尾根道の下りだが、微妙に二股になっているところがある。高度計を見ながら、その地点と思わしきポイントでコンパスの方向を確認する。そのようにして下るに従いだんだんと道が識別できようになってきた。高度をどんどんと下げ、とうとう淺川峠に到着。立派な道標がある。

このように道は不明確

写真の地図上の位置は微妙に尾根が二股になっている。このようなポイントが要注意なのだ。

扇山へ

淺川峠でランチパックを立ったまま食し扇山に向う。ここからは尾根の登りだ。やがて山頂らしきものも見えてきた。ここまでくれば多少道をはずれても大きく迷うことはない。などと思いながら登りつづけるも、だんだんと勾配は急になり足元ばかりをみているので完全に道を見失う。それでも山頂へ向って直登し、とうとう扇山の山頂にたどり着いた。時間は13時50分。
しずかな山頂。幸せそうな家族連れが休んでいた。

可愛いので思わずシャッターを切る


扇山に来るのはこれで3回目。富士が見える名所なので、いつも山頂は賑っている。しかし、今日は富士も霞みで見えず、人も少なく静かな山頂だ。小さな子を連れた家族連れが休んでいるだけ。楽しそうにランチを食べているので思わずシャッターを切った。15分ほど小休止をとり、鳥沢駅方面に下る。後日、この写真をご家族にメールで送らせてもらったが、お二人は山で知り合ったとのこと。

14時すぎ、山の日は低くなるのが早い


鳥沢駅へ

この先は過去に2回登ってきたので、気楽に下れる。14時過ぎだというのにもう日が低くなっている。しかし、ここまでの不明瞭な登山道から一転してよく整備された歩きやすい登山道である。リズミカルに歩を運び、40分で登山口に到着。アルコールバーナーで汁子を沸かし、一服して舗装道路を鳥沢駅へ向って歩く。鳥沢駅に到着したのは15時50分。すぐに高尾行きの列車がきたので階段をかけあがり飛び乗った。
無人駅

総括

晩秋の登山道は落ち葉に覆われている。今回のように入山者が少ないエリアは道の判別が難しい。このようなコースでは特に下りが要注意。登山道は尾根道が多いが、尾根道は往々にして途中から二つに分かれている。このようなところが最も危険。これは上りにはない現象だ。この二股を間違えないようあらかじめ地図で注意ポイントをチェックしておくべきだ。
それから不明瞭な登山道とはいえ、登山道は必ず踏み固められている。もし足元がやわらかい土を踏むようになったら登山道からはずれたと疑うといい。地下足袋だと地面の感触がよく判る。それからコンパスで方向確認できることは非常に心強いものがあった。
じつはこれらのことはNAVIがあれば簡単なことである。しかしそれではつまらない。こうして自分であぶないポイントを経験的に取得し、方向を判断することは大事なことなのではないか。それにこれは大人の冒険ごっこみないなもので、IT頼りに歩くのはルール違反みたいなものだ。




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