大山にみそぎ登山

ネクタイ尾根で出会った利発そうな犬

ストレスいっぱいの週末

どうも私は人付き合いが苦手だ。先週末は金曜から一泊で北海道に業界旅行。紅葉の北海道を楽しむどころか職場へ土産の定番「六花亭」のお菓子とともにずっしりとストレスを背負って帰ってきた。もうこれは山でリフレッシュしないとどうしょうもない。だが日曜でもあるので、近くて静かな山歩きと考え、日向薬師からネクタイ尾根経由で大山にいくことにした。日向薬師でみそぎをして、ネクタイ尾根から大山を登り、たっぷり汗をかいてフレッシュだ。

ネクタイ尾根とは

ネクタイ尾根とは通称である。誰かが廃道の尾根に目印としてネクタイを木々にかけたことが由来である。大山北尾根までの急登の尾根だ。昨年に初めて登ったときはまだ何本かのネクタイが木々にかけられたいた。ネクタイと尾根、、、なんとシュールな組み合わせか。このルートは昭文社の地図などには記されていない。とりつきまでのアクセスが不明瞭なのではじめての人は一人で入るのは避けたほうがいい。

今回はほとんどバリエーションルートである

日向薬師を出発

朝7時、伊勢原駅から大山行きのバス待ち行列を尻目にガラスキの日向薬師行きのバスに乗る。バスは20分で日向薬師に到着。客は私と親子連れの3人だけ。親子はまっすぐ大山を目指して歩いく。私はひとり日向薬師からバリエーションルートで入山。山門をくぐり苔むす静かな参道を登る。やがて本堂に達し、誰もいない前庭を横切り、さあいよいよルートに入る。
朝の参道は誰もいない

本堂は「平成の大修理」中。屋根も葺きかえられた。

登攀開始

日向薬師を見下ろしながら入山。ルートは尾根を忠実にたどる。静かだ。踏み跡もない。この尾根道を歩いているのは私一人だろう。大山に至る道はどこも賑やかに声が響くがここは別世界のように静か。聞こえるのはイカルなどの小鳥たちの地鳴きだけい。くつかのコブを超えどんどん深みに入る。正規の登山道ではないので案内は簡単な手書き道標だけ。まずはネクタイ尾根のとりつきである唐沢峠を目指す。
露出した木々の根が痛ましい

このような手書きを頼りに歩く

これも見落としてはいけない

先週末はシュラフを担いで奥多摩の酉谷山に行ってきた。久しぶりに大型ザックを背負ったので、今日は荷を軽く感じる。ほんの数キロの差でこうも違うものか。やはりボッカ訓練は効き目がある。今日は急な登りも苦にならない。
先週訪れた奥多摩の酉谷山非難小屋

左右の木々の間に大山に連なる尾根を眺めながら歩を進める。痩せ尾根のため足元は木の根が露出して痛ましい。この根にひっかかって滑落したら誰も助けにきてくれないだろう。慎重に歩を進める。やがてこの先で合流する尾根筋が見えてきた。三峰から大山に至る一般道だ。私が歩いてきた尾根への入路をふさいでいる通行止めのロープをまたいで一般道に合流。これを大山方面とは逆に唐沢峠まで下るとネクタイ尾根への取り付きだ。
ロープをまたいで登山道と合流

ネクタイ尾根取り付きまで

一般道を唐沢峠まで下る。当然だが下っただけ登り返さなくてはならない。やがて10分ほどで唐沢峠にでた。さらにここから下に見える沢まで下り、ネクタイ尾根へと入る。ところが沢に下りる道がなかなかみつからない。一度下りたことがあるのだが、記憶は不明瞭。やがて本道から分かれている道らしきものを発見。よしこれだ。微妙に曲がりくねった踏み跡は確実に沢へ下りていく。やがて水涸れした沢に下りることができた。
しばし登山道を唐沢峠まで下る

下りた地点にはケルンが積まれていた。ここを登る人のために積まれた目印だろう。次回のため、このケルンを目に焼き付け、さあ今度はネクタイ尾根への登り口を探さなくては。たしか沢沿いに少し登ったところにあったはず。踏み跡もないので検討をつけて静かな沢沿いを歩いてみる。沢に下りる斜面には延々と鹿除けの柵が張られて山への進入を拒んでいる。
左手前に見える小さなケルンが目印。ルートの判別は不明瞭である。

15分ほどうろうろ探したところ、柵が切れて斜面を尾根に向かって一直線に伸びている踏み跡を発見。これがネクタイ尾根への取り付きと確信して尾根まで登る。するとかつて登山道であったことを示す朽ち果てた木段を発見。まちがいない、ここからネクタイ尾根だ。
朽ち果てた木段。かつて登山道であった証しである。

ネクタイ尾根を登る

ネクタイ尾根は大山の北尾根に合流する尾根だ。高低差400。しかし勾配は半端なくきつい。まさしく直登だ。私の足ではこれを上りきるのに1時間ほど要するだろう。スタートを前に水を飲み一息入れる。木段を見上げ、声を出してザックを背負い、さあ最初の一歩を踏み出す。木段はすぐに消え、あとは尾根筋をたどってひたすら登る。迷うことはない。一定のペースでどんどんと高度を上げる。左に見える尾根を見ながら自分の位置を想像する。もう半分ぐらい登っただろうか。すると上から犬を連れた登山者が下りてきた。こんなところで人と会うとは。挨拶を交わし、しばし歓談する。主人いわく、犬は下り坂をどんどんと下りていくので主人が引っ張られて困るとのこと。
犬を連れた登山者

さあもう少しだ。見上げると前方に合流する北尾根が見えてきた。記念にネクタイの写真をと思い探したがみつからない。昨年は何本かあったのに。シャレが分からない人がはがしてしまったのか。残念だ。そうこうするうちに作業モノレール軌道を越え北尾根に達する。尾根の向こう側に宮ヶ瀬方面を見下ろす。左手上部には大山の山頂アンテナ塔が見える。あとはなだらかな尾根をいっきに登り詰め、とうとう山頂に達する。時刻は13時。ほぼ5時間の行程であった。
モノレール軌道を過ぎると北尾根と合流する

鹿よけ柵を挟んで宮ヶ瀬方面を見下ろす

山頂で

今日は静かな山歩きがテーマなので、山頂の神社前はパス。神社裏で静かにランチを取る。久しぶりにアルコールストーブを使いスープを沸かす。もう山頂は秋の気配が濃厚だ。紅葉もはじまり、実も色づき始めてる。風も冷たい。暖かいスープで体を温める。帰りはヤビツ峠まで下り、秦野行きバスに乗ることにする。スープを飲みながら時間調整をして、腰を上げ、ストックを出してバス停までの下りを歩き始めた。曇天だが清々しい風に身体を洗われる気分。バス停まで1時間。爽快な足取で下る。
大山山頂より丹沢主脈を眺める

アルコールストーブでスープを沸かす

山頂では木々が色づいてきた

鳥居をくぐって

ヤビツ峠でバスの人となる

後日談

やはり日曜の山登りは仕事に応える。爽快な気分で山を下りたものの、月曜日はクタクタ状態で出社。教訓、疲れはあとからやってくる!

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