北高尾で秋にお別れ

Mさんの「キタタカオ」へ(2014年11月30日)

かねてより私の山友であるMさんはいつも熱く北高尾山稜歩きの面白さを語る。タカオとは言わず、キタタカオと言う。言外に「タカオではない」と言いたいのだろう。会うたびに北高尾の話を聞くので、それならば一度試してみると約束していた。しかし、口では約束しても、やっぱり「高尾」というイメージがついつい私をおっくうにさせてしまう。なんと心の狭い男なんだろうと反省。奥多摩歩きも始めたのだから、その入り口ともいえる高尾に一度挨拶をしておかなくてはいけないなどど、上から目線で「行ってみる」ことにした。そんないい加減な気持ちで山に登るとどうなるか、顛末を記す。

計画

上から目線のユルユル気分なので計画もいい加減であった。(このところ飲み会続きであったため)高尾だからゆっくりでかければいいや。などどロクに地図も確認せずでかけたのが最初の失敗。これから歩く北高尾山稜のコースタイムが地図に小刻みに記されている。ひとつひとつの区間タイムは50分だとか、40分である。ところが陣馬まで歩くとして、そのタイムを合計してみるとなんと8時間もかかるではないか。そんな計画の甘さも知らず5時間程度のハイキングのつもりで高尾駅からバスに乗り、登山口の「霊園前」で降りたのが8時半ごろであった。(この時間からして走破は無理)
バス停より正面の八王子城址に向かって歩き始める

登山開始

「霊園前」とは都立八王子霊園のことである。八王子城址に隣接している。北高尾山稜はこの八王子城址から始まる。この城は北條氏の城で自然の地形を利用した巨大な砦といった感じである。看板の説明によると豊臣軍に攻められ一日で落城したみたいだ。なんか縁起の悪い城だ。だが、日本百名城として登録されている。看板の説明書きを見ながら、頂上の八王子神社に上り詰め、その先はいよいよ木々に囲まれた山道となる。さあいよいよ山稜歩きの始まりだ。
鳥居をくぐって登山開始


道を間違える

調子よく八王子城址を見物しながら登り、次のポイントである富士見台へと歩を進める。城址を過ぎると予想したとおり、下りとなる。
八王子神社は銀杏の落ち葉が敷き詰められていた


多分これからこのようなアップダウンが続くのかなどと思いながら調子よく次のポイントである富士見台に到着。一休みしてそのまま先に延びている登山道を歩く。予想通りに登山道は下りとなる。だがこの下りがいやに長い。いやいやこんなに下って、また登るのかなどと思いながら30分ほど下りづづけると、何とこの先バス停の標識がでてくるではないか。どうもこのすぐ下にバス停があるらしい。おまけに標識は陣馬方面は逆に私の下ってきた方向を指している。おかしい、完全に道を間違えている。ヤッテシマッタという気持ちだ。標識の前で地図を広げて現在地を確認する。なるほど、この下にバス通りがあり、高尾駅と小仏間のバスが通っている。陣馬に行くには下ってきた斜面を登り返さなくてはいけない。しょうがない、今日はこのまま帰るか。いやいや、このままバスなんて恥ずかしくて乗れないよ。まだまだ体力あるし。葛藤の末、気を取り直して、下ってきた斜面を全力で登り始めた。
富士見台手前でこんな立派な標識を見落とし、バス停方面にいってしまった

計画修正

道を間違えたとはいえ、何故かこのときはまだ目的の陣馬まで行けると思っていた。とりあえず富士見台まで戻り、ベンチで休んでいたグループに陣馬方面はどういけばいいのか聞いた。すると、まず「ええ!これから陣馬までいくのか?遠いよ」とビックリされ、行くならばすぐ下に分岐があると教えてくれた。ビックリされる私の方こそビックリだ。時計を見たら11時半。この時間で陣馬まで行くのはもう遅いらしい。あらためて地図を出して時間を計算してみた。なるほど、この時間だと陣馬につくのは15時半ごろになってしまいそうだ。その時間に陣馬から下リ始めると辺りは暗くなること必至。ビックリされるのも当然だ。この時点でようやく自分の計画の甘さに気付き、陣馬までいくのはあきらめた。でもこのまま帰るのも悔しい。Mさんに説明もつかない。いけるところまで行って、戻るか、またはどこかにエスケープして下るか、頭の中で考えながら陣馬方面に歩を進め始めた。見通しのない薄暗い山道を反省と後悔を背負いひたすら歩く。次々と迫る小さなコブ。登りと下りの繰り返し。私は完全に北高尾の人となっていた。

青が間違えたルート。けっこうロスタイムだ。


気を取り直してランチ

このまま進むとして、どこでエスケープできるのか。何しろ高尾は初めてなので、知識不足。バス時刻表のデータもない。準備不足というか、登山者失格の代表例だ。だが反省している場合ではない。このような時はとりあえずメシだ。山専ボトルとカップ麺を取り出してランチの準備。お湯を注いで3分。待っている間にちょうど登山者が私の横を通り過ぎていく。「これからどこへ?」「この先の関場峠で林道に下り高尾駅に戻る」とのこと。さっそく地図を見て確認。なるほど、ここから1時間ほど先の関場峠から林道が高尾駅方面に通っている。駅まで歩けるらしい。私もこれで下ろう。予定は決まった。ゆっくりとカップ麺の蓋を開けて暖かい麺をすすった。今日の唯一の計画ともいえる山専ボトルの性能テストの瞬間であった。
山専ボトルでカップ麺を作る。けっこう使える。

秋の名残

関場峠から下りる林道は小下沢林道(コゲサワ)という。沢沿いの道だ。沢音を聞きながらゆるい下りを歩くので気も落ち着く。道は落ち葉で彩られて美しい。もう秋も終わりだ。あとはこの林道をのんびり歩くことにしよう。1時間ほど歩くと中央高速をくぐり、高尾駅につづく街道にでた。バスを待って高尾駅に着いたのが16時半。次回のやり直し登山を心に誓い中央快速に乗った。
落葉に覆われた小下沢林道

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